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The Ystad concert その2

Category : 小ネタ
The Ystad concert その1の続きです。
Jan Lundgrenの「The Ystad Concert」と、Jan Johanssonの「Jazz På Svenska」を聴いてみました。

先に「The Ystad Concert」の方を聴きました。ストリングカルテットを導入しているので、さぞ華やかなアレンジになっているかと思ったら、メインはJan JohanssonとMattias Svensson(B)のデュオで、カルテットは必要最低限しか使っていない印象でした。ちょっと拍子抜けしましたが、ストイックな雰囲気の中、最後に「長靴下のピッピ (Här Kommer Pippi Langstrump)」を演奏すると、場が和むのが分かりました。この比喩が正しいか分かりませんが、現代音楽のコンサートの締めにNHK「きょうの料理」のテーマ曲(富田勲作曲)が演奏されたような感じでしょうか(^^;)?


Här Kommer Pippi Langstrump
歌詞はこちら

それから「Jazz På Svenska」を再生。(ありがたいのと申し訳ないのと半々ですが、YouTubeで全曲聴けます。)本当にピアノとダブルベースのみ。シンプルの極みに驚きましたが、「The Ystad Concert」があんな楽器構成になっていた理由も分かりました。

「The Ystad Concert」のライナーノーツは、「Jazz På Svenska」でJan Johanssonと共演したベーシストGeorg Riedelが書いています。彼は当時、この作品が『天才のひらめき』だったことを理解していなかったと言っています。ドラムは不在、伝統的な”swing”もない、これはジャズなんだろうか?と。批評家達もこのプロジェクトを良く思っていなかったようですが、実際には、スウェーデンで一番売れたジャズアルバムになりました。

正直言えば、今現在聴いたら目新しい音はないと思いました。でもリアルタイムで体験したら、とても斬新な、この形しか表現し得ない音楽が、一人の天才から現れた瞬間に震えたかもしれません。私は研究者ではないので、Jan Johanssonが何を思ってこのアルバムを制作したのか、語った文献を読み込んだわけではありません。「Jazz På Svenska」のライナーノーツに、Johansson自身は「これらのメロディーを聴く機会をリスナーに届けたかった、でなければ図書館の屋根裏でほこりを被ったまま、知られることはなかっただろう。」(1.)と言っていることをつい最近知り、ここ1週間ばかりネットで調べ廻った結果を書いているだけです。しかしその範囲で想像するに、Jan Johanssonがアメリカやヨーロッパ他国のミュージシャンと共演する中で、自分の音楽のアイデンティティは?と考えたのではないかと。メロディを引き立たせるために、非常にシンプルに仕上がった作品は、形式やファッションや技術より大切な、故郷の情景や空気、心象風景みたいなものをスウェーデンの人々に提示できたのでしょう。

(1.)引用:https://www.allaboutjazz.com/jan-johansson-piano-musik-genom-fyra-sekler-by-chris-mosey.php

「Jazz På Svenska」を聴いていて、プログレにハマってから知ったSamla Mammas MannaやKebnekajse、Arbete och Fritidなどの、いわゆる「Progg」と呼ばれているグループに繋がる精神を感じました。「Progg」はつまりスウェーデンのProgressive Rockムーヴメントなのですが、左翼寄りで、主流にこびず、DIY精神で活動する若者が中心でした。勿論彼らはアメリカやイギリスの音楽に影響されましたが、同時に、スウェーデン語で歌い、自国の民謡的なフレーズを音楽に取り入れていました。これはもしかして、Jan Johanssonが創り出した音楽の影響が、70年代まで及んでいたか、と推測しました。自宅にある音楽資料的な本はロック中心で、Jan Johanssonの時代や、JLTが「Swedish Standards」で多くカヴァーしている1960年代前半までの古い資料はありません。Google先生にあれこれインプットして探していると、「Swedish Standards」で取り上げられたCornelis Vreeswijk("Min Polare Per"の作者) が、Made In Swedenとセッションする動画を見つけてしまいました。カッコイイよ。




Cornelis Vreeswijkはオランダに生まれ、1949年に両親と共にスウェーデンに移住してきたアーティストです。リンクした動画の曲 "Ångbåtsblues" で、Jan Johansson Trioと共演したことがあります。まぁ細い繋がりではあるのですが、60年代後半〜70年代のロック世代にJan Johanssonの残した影響が繋がっていった、証拠の一つにはなるかな、と思いました。これが80年代になると、プログレバンドには少し名残があるものの、HR/HMバンドには影響が聞こえなくなっていきます。この分断が興味深いのですけど、Hasseが言う「New Wave of Swedish Heavy Metal」の誕生と共に消滅したのかもしれません。(ヴァイキング・メタルやペイガン・メタルなど、民族音楽の要素を取り入れたメタルは存在しますが、文脈が違うと思ったので、こちらは割愛。)

つらつら書いてきましたが、特に結論じみたものはないです。でも昔のスウェーデンの音楽をいろいろ聴く機会を持つことができて面白かったです。無理矢理Spellboundに繋げるならば(笑)、Strandberg兄弟の父親、Åke Strandberg (Sax/Cl.)はJan Johanssonとおそらく同年代だったんじゃないかと。とーちゃん同士の繋がりは特に見つけられませんでした。終わり。

(追記)Jan Johanssonの功績をたたえ、スウェーデンには彼の名前を冠したスカラーシップがあります。本当に大事にされている音楽家なのですね。

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